ふり返りトーク #25

オット  「人の命をあずかるような職業には、つくなよ」って言われたのは、高校生のとき。医者とか、パイロットとかになるなよって。

けら お父さん、分かってる!!

オット うっかりミスが多すぎる、うっかりで飛行機落ちたらたまらん、って。冗談まじりだったかもしれないけど、けっこう心に残った。

けら 的確すぎたからでしょう。

オット 医者にもパイロットにも、なる気なかったけど、もし、もうちょっと勉強ができてたら、いちばん難しい学部だからって理由だけで、医者を目指してたかもしれない。

けら たしかに、そういう理由で医者になった人、いるかもしれないね…。

オット だから、自分が、編集者やったり、マンガ家の夫をやったりしてるのは、必然性がある。とりあえず、命に別状ない仕事だから(笑)。

けら まぁ、命に別状ないってだけで、仕事でポカミスされたら、大変だけどね(笑)。

オット 俳優さんとかもダメだったろうなぁ……舞台で大道具、壊したりして。

けら 壊すわきっと・・!見えるようだ・・! だから、レストランとかもダメだね。

マンガ家は、紙が相手だからよかったよ。失敗しても、描き直せるし。

オット あなたは、ぼくに比べると、そういう失敗は、しないんだよね。

けら 私は、こう見えて、繊細みたい。神経が、すごく、こまかい。でも、50歳すぎるまで、気がつかなかったの。私は、母に似て、ガサツなんだと思ってた。そういうモードもあるんだけど。

自分の本質は、若い時って、いまいち、よくわかってないね。親のことも、半分くらいしかわかってなかった。30代なんて、まだまだ、分かってないことが、すごく多い。でも、就職や、結婚とか、大事な選択は、20ー30代ですることが多い。それでぜんぜんいいんだけど。でも、思い通りにはならなくて「あれっ!?」てなることあるじゃない?

オット この親孝行旅行も、30代で、満を持して敢行したつもりが、あれっ!?・・ってね(笑)

けら うん。あれも、カンペキと思ってやってたんだけど、いろいろ間違ってた(笑)。思い通りにならないわけだよ。

オット うん。

けら でも、人生は「思い通りになること」が目的じゃない。それがわかってる大人だったら、こんなに怒ったり泣いたりしなかったね(笑)。