#03 お母さんをイタリアに連れて行ったらどうなるだろう
ふり返りトーク#3
けら 私はこのころ「ウチは、もうびんぼーから卒業した」と思ってたわけです。
オット (笑)まあ、そうだ。
けら 子どもは、二人とも大学行けて。貯金で、マンションの頭金払えて。お父さんは自衛隊退官して、再就職して。もうすこし働いたら、年金もらえるし。
オット あなたは結婚して、マンガ家になって、印税も入って。
けら そう。もう、どう見ても、卒業!
ここはね、お母さんと、手を取り合って喜ぶところですよ。「よかったね、私たち、ここまで来れたね」って、最高の笑顔で。
オット ラストシーンだね(笑)
けら でも、お母さんは、まだぜんぜん!びんぼーのままの気持ちでさ!相変わらず、ケチで、私のことも、よく分かってなくて、会うとすぐお金の心配をされる。「ウエダさんは会社を辞めてしまって、だいじょぶなの?」とか。
オット あ、それ、イタリアで、お母さんと二人になったとき、直接聞かれた。
けら 私はいそがしくて、毎日ボロボロになって漫画描いてたけど、海外旅行へ出ちゃえば夢のような暮らしができるわけじゃない?
ステキ!! うそみたい!! よかったなあ!! と思って。
お母さんも、苦労したんだから、これを味わってもらいたい!と思ったんだよね。戦友だから、お母さんは。
オット ビンボーとの闘いのね。
けら そう。せっかく私たち勝ったのにさ。お母さんは、勝ったことに気がついてないの。
もう戦争は終わったんだよ!早く、こっちに来て!と思ってた。
(つづく)