あたしンちに学ぶ、人生のコツ

この知恵は、主に、男の人どうしの話かもしれません。

「だじゃれとかオヤジギャグは、上の者が下の者に言うもの」

「おやじギャグ」というのは、昭和の文化かもしれません。中年の男性が言う、くだらないギャグのことです。

おじさんが、職場の人間関係のなかで、わざとのように、しょうもないことを言う。まわりの人間は、ちょっと困ったように、笑って受け流したりして。そして、父の友だちの、俳句おじさんは言います。あれは「上の者が下の者に言うものだ」と。

たしかに「オヤジギャグ」を言う中年男性が、自分よりエライ人の前でそれを言うことは、考えにくい。むしろ、エライ人の冗談に困りつつ笑ってみせる側に、立ち位置がチェンジしているかもしれない。

ギャグを言ったりふざけたりすることには、マウンティングの意味があるのかもしれません。つまり、くだらない冗談には、その場で自分は「ふざけていい上位の人間だ」ということを、アピールする意味があるんですね。

あ、よく考えたら女性でもいますね、そういう人。リーダー的な立場で、笑えない冗談を言うのが大好きな…カルチャースクールの先生とか、コスプレする政治家の人とかw

今どき、そんなことをして、若者に引かれるリスクを冒す年長者は、だいぶ時代の空気が読めていない人だと言えるでしょう。つまり、昭和の文化かな、と。

でも、父は、このオジサンのダジャレが嫌いではなく、ひさしぶりに会うと「昔のように言ってくれてもいいんだが」と思っているのです。

新人として、部活やサークルあるいは職場に入ったとき、先輩の冗談がものすごく面白かった。そういうことってありませんか? 私はあります。

一説によりますと、笑いというのは「緊張と緩和」によって生まれるらしい

コントや漫才で、一人がわけの分からないことを言うと、それは緊張を生みます。もう一人が「何言ってんだおまえは」とつっこむと、そこで緊張がほどける。その緊張→緩和によって、笑いが生まれるのだそうです。

で、ですね。基本的に、新人は先輩に対して緊張しているものだから、先輩がどうでもいいことを言ってくれると、ホッとして笑ってしまうんですよ。

そして、その先輩は先輩で、新人をリラックスさせようとして、冗談を言っているのだったりする。

つまり、年長者の言うギャグには、マウンティングの意味もあるけれど、グルーミングつまり猿の毛づくろいのような、リラックス効果を持つ場合もある

ダジャレおじさんが、オヤジギャグを言っていたのは、きっとおじさんが、父の上司だったころです。再会した、おじさんと父は、もうそういう関係ではないんでしょうね(ダジャレおじさんは、退職間近かもしれません。おじさんが父の近況をたずねるやりとりに、それはあらわれていて、さすが、けらさんは描写が細かいです)

でも、父は、おじさんのことを少し好きで、なつかしくて、自分に対して「上の者」として、ふるまってくれていいんですよ、と思っている

会社のはかない人間関係のなかでの、心の交流です。

そういえば、お父さんは、家のなかで、ユズヒコによく冗談をしかけるのですが、これも、上の者から下の者にむけての「じゃれ合い」と言いますか、親愛の表現なのでしょう。

ユズヒコは、それを、たいへんうっとうしく思っているようですw

⑥-no.29

 

(「あたしンち」には、ときどき、人生のコツのような話があります)

あたしンちの知恵④ 

オヤジギャグは、上の者が下の者に言うもの。